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<トレーナーの信念>
カズの身体に耳を澄ませて。 

text by

一志治夫

一志治夫Haruo Isshi

PROFILE

photograph byAtsushi Kondo

posted2017/03/05 17:00

<トレーナーの信念>カズの身体に耳を澄ませて。<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

竹内の仕事の時間は年々長くなっているが、彼のカズへの繊細な接し方は変わることがない。深く、丁寧に寄り添い続ける。時にカズが練習をやり過ぎるのを制するのも重要な役割となっている。

カズとカの身体を18年にわたり支えてきたトレーナー・竹内章高の果たす役割とは。

 ワールドカップフランス大会1998のメンバーから直前に外されたカズは、その年の末、新天地クロアチアへと渡った。その新しい環境に、カズはひとりの男を呼び寄せている。トレーナーの竹内章高だ。この時カズは32歳。この出会いがその後のカズの選手生命に大きく影響することになる。以来18年、カズは、竹内を文字通り片時も離さず、毎日の練習、試合はもちろん、海外遠征にも帯同し続けるのだ。

 現在、竹内の果たす役割は大きく2つ。ひとつは、マッサーとして練習、試合の前後にカズの身体に触れ、痛み、不具合を取り除き、身体の状態を正常に戻すこと。もうひとつは、加齢によって衰えていく身体のポテンシャルを引き上げ、ときには伸ばすことだ。

 竹内とカズは気がつけばいつも身体のことを話している。いかにベストの状態に仕上げていくかを模索している。その結果、2014年より、昨年のほうがいい状態に仕上がるなどということも起きた。

 カズはこう言う。

「ここのところ、トレーニングのルーティンもいろいろ変えたりして、また身体がよくなっているという実感がある。鍛えていけばまたここまで戻せるんだな、こういうバネがつくんだな、と感じている。たとえば、筋力を増やすために、筋トレを増やしている。スプリント系の練習を繰り返すと尻の周りの筋肉にものすごく負担がかかるんだけど、筋トレで持ちこたえられたりできる。そういういい反応が出ると、ああまだこの年齢でも成長ってできるんだな、と思います」

 竹内がこう補足する。

「筋力が下がっているから上げたい。要は落ちてきているものを食い止めたい。筋肉はちゃんとやれば死ぬまでつきます。その人の100パーセントを102パーセントにはできる。ただそれは、20代のときの70パーセントかもしれない。そこには戻らないけど、元に戻す方向に持っていくんです」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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三浦知良
竹内章高
横浜FC

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