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<原色女子アスリート図鑑>
冬に輝く女神たち。伊藤亜由子(ショートトラック)
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/01/06 10:00

平昌五輪を目指して奮闘している女子アスリートの中から、強さと美しさを兼ね備えた5人を紹介。彼女達の勇姿が日本の冬を熱くする。
この5人の中から、ショートトラック・伊藤亜由子選手の記事を特別に公開します。
この5人の中から、ショートトラック・伊藤亜由子選手の記事を特別に公開します。
2度目の五輪舞台となった'14年ソチ五輪を区切りに、一度は現役を退いた。伊藤亜由子、当時27歳。両親には現役続行を勧められたが「これが限界」とスケート部を離れ、トヨタ自動車の仕事に専念することにした。
目標が叶って初出場したバンクーバー五輪では、世界の壁は厚く、1000m18位、3000mリレー7位に終わった。エースとして出たソチ五輪でも個人3種目すべて決勝に進めず、リレーも5位。トップレベルとの差は大きかった。
けれども、ソチ五輪後、スケートから離れてフルタイムで社業に専念しているうちに、心の中で燃え残っていた油に再び火が付いた。
「これが最後と決めてソチに向かったのですが、思い返すたびに悔しさが募っていって。全部を出し切ってはいなかった」
現役復帰の思いを上司に告げたのは'15年春。半年間はフルタイムの就業を継続しながら練習に取り組んだ。
「まずは初心にかえり、入社当時のように仕事も練習も全力で打ち込みたかったんです」
決意を胸に、質の高いメニューを集中して行い、体力を戻していった。また、長野のリンクで単独の合宿も張った。引退していた時期に感じた、周囲の人々の応援に対する感謝の気持ちが自分を強くした。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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