オリンピックへの道BACK NUMBER
女子カーリング、五輪を巡る大接戦。
中部電力とLS北見の別れた明暗。
posted2017/02/06 12:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Nanae Suzuki
観客席の応援団に手を振ると、選手たちからは笑顔と、そして涙がこぼれた。
1月30日に軽井沢アイスパークで開幕したカーリングの日本選手権は2月5日、最終日を迎え、女子はLS北見との決勝を制した中部電力が優勝した。3年ぶり、5度目の優勝である。しかも昨年は、ブロック大会で敗れ、出場すらかなわなかった大会だ。
予選リーグではLS北見に敗れ、7勝1敗。プレーオフでも1位通過のLS北見に一度は敗北を喫する(カーリングでは予選リーグの1位と2位、3位と4位でプレーオフが行なわれる)。その後、3度目の対戦での7-5の僅差の勝利は、大きな1勝となった。
決勝戦は、中部電力の今大会の快進撃を支えた理由を、あらためて知らしめる内容でもあった。
リードからのセットアップ(ストーンの位置取り戦略)である。
勝負を分けた第6エンドの攻防。
勝負を分けたポイントはいくつかある。その中でも大きかったのは、第6エンドだった。
第1エンドをブランク(無得点)とし、第2エンドから互いに後攻のチームが点を取るパターンで第5エンドを終えて3-3、LS北見が有利な後攻で第6エンドを迎える。
北見からすれば、1点のみならず、2、3点と狙っていきたい局面だ。
だが、リードの2投は、作戦の通りにはいかなかった。1投目は狙いどころより伸びて、ハウス内に入ったことで中部電力に弾き出される。2投目は、中部電力のセンターガードにチップして、ハウスの外へそのまま出てしまう。
対する中部電力は、着実にショットを決める。
北見も対抗するが、常にナンバー1のストーンは中部電力。中部電力が攻めてLS北見がしのいでいるかのような展開となる。
ナンバー1、ナンバー2のストーンが中部電力の状態で迎えた北見のスキップ藤澤五月のラストの一投の選択はドローショット(敵の石を弾くのではなく、自分の石を良い場所に置くためのショット)。しかし、狙っていた位置で止まらず、ナンバー3。
結果、2点のスチールを許したのである。今大会の全試合を通じて、初めてLS北見が先行された場面でもあった。