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<人口33万人の誇り>
アイスランド「EURO最小国のおとぎ話」 

text by

栗原正夫

栗原正夫Masao Kurihara

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photograph byItaru Chiba

posted2016/07/14 06:00

<人口33万人の誇り>アイスランド「EURO最小国のおとぎ話」<Number Web> photograph by Itaru Chiba

闘志溢れる戦いで、イングランド相手に歴史的な勝利を収めた。

出場枠増加の恩恵と揶揄された小国アイスランドは、母国イングランドに競り勝ち8強進出の快挙を実現した。EURO最小国が起こした奇跡と、その美しき散り際――。

 7月3日、小雨の舞うサンドニのスタッド・ド・フランス。試合終了後、すでにほとんどのファンが席を立ったなか、EURO2016のシンボルの1つとなったおよそ1万人のアイスランドサポーターだけはスタンドに残り、両手を大きく開いてからゆっくりと手を叩き、腹の底から「ウッー!」と声を絞り出す“バイキングチャント”を繰り返していた。

 2-5で敗れたフランスとの準々決勝。アイスランドは序盤の失点で躓き、一時は4点差までつけられたが、シグトルソンとB・ビャルナソンがゴールを奪うなど最後まで諦めない“らしさ”は十分に示した。

 フランスの選手とユニホーム交換する者などはなく、自国ユニホームを着続けたアイスランドの選手たちが、スタンドをブルーに染めたサポーターのチャントに応える。両者が交わるその光景には、自国への思いや今回のEUROで成し遂げたことへの誇らしさが滲み出ているようだった。


 人口300人のレスキョルト村から応援に来た3人組の男たちは、2-1と勝利したイングランド戦があまりに最高だったので滞在を延長し、サンドニでのフランス戦も見ることにしたという。ブロンドの長髪に立派な顎ひげを蓄えた大工のグドムド・ビャルトルソンは、フランス戦を前に興奮気味にこう話した。

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