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寝たきりの毎日から劇的復活。
渡利を支えたリオの“悔しさ”。
~女子レスリング、闘病を乗り越えて世界選手権の代表に~
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2018/07/17 07:00
残り8秒、強烈なタックルで関を場外に押し出し3-2と逆転。そのままリードを守り切ると喜びを爆発させた。
胸を揺さぶる復活劇だった。6月に東京・駒沢体育館で行なわれた全日本選抜レスリング選手権女子68kg級で、悪性リンパ腫の闘病生活を乗り越えた'16年リオデジャネイロ五輪女子75kg級代表の渡利璃穏(りお=アイシンAW)が優勝を飾り、世界選手権(10月、ハンガリー)の代表に決まった。
試合はリオ五輪以来、1年10カ月ぶりだった。まずは初戦を7-0で制して気持ちをほぐし、リラックスした状態で迎えた関千晶との決勝。2-1で迎えた第2ピリオドの残り24秒でポイントを奪われ、2-2とされる大ピンチに見舞われたが、ここからが渡利の本領発揮だった。ルール上、このまま終われば追いつかれた渡利の負け。「行くしかない」という覚悟でタックルを仕掛け、残り8秒で3-2として勝利をもぎ取った。