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統一戦への思いは男子以上。女子ボクシングの熾烈な争い。~歴史は10年、選手は100人。望むことは「認められたい」~
text by
前田衷Makoto Maeda
photograph byBOXING BEAT
posted2017/11/30 08:00
多田(左)と柴田の試合は1回から激しい打ち合いとなったが、中盤から多田の左ストレート、左アッパーが決まる。
名前と顔を覚えられないほど、多くの世界チャンピオンが誕生している。普通に王座を防衛しているだけでは「その他大勢」のチャンピオンの中に埋没しかねない今、彼らは「もっと強い相手とやりたい」「統一戦をやりたい」と口にするようになった。自らは価値ある特別な存在でありたいのだ。
これは男子に限らない。いや、女子の方がより深刻かもしれない。このところトップ同士の激突など、注目の好カードが次々実現するのも危機打開の試みにちがいない。11月10日後楽園ホールでは多田悦子と柴田直子の元世界王者同士が対決。この試合をより強く望んだのは5年前の初対決で敗れた柴田だが、リベンジはならず。多田が以前にも増して老かいさを発揮し3-0判定勝ちで健在ぶりを示した。女子のトップらしい好試合だった。