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理想の育成牧場を――。ある名厩務員の話。~35年の厩務員生活の後、牧場を私費で作った男~
text by
片山良三Ryozo Katayama
posted2016/10/30 17:00
15歳で中央競馬の厩務員になった宮崎利男さんは、35年間東京競馬場と美浦トレセンで働いたあと、茨城県行方市にミッドウェイファームを開いた。
「そもそも放牧は、馬が良くなって帰ってくることを期待して牧場に出すわけだろう? だけど現実は、想像と全く違う姿で帰ってくることがほとんど。調教施設にも問題はあるだろうし、世話をする人間が競馬場の現場を知らないのも大きい。間違いなく馬が良くなる牧場を、俺が作るしかないな」と夢を語っていた人が、理想の育成牧場を本当に作ってしまったのだ。'98年の秋のことだった。