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二つの小さな魂が起こした、ボクシング界の現実の奇跡とは。~子どもの頃に、何に心を奪われたか~ 

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角田光代

角田光代Mitsuyo Kakuta

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posted2017/10/22 07:00

二つの小さな魂が起こした、ボクシング界の現実の奇跡とは。~子どもの頃に、何に心を奪われたか~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『無敵の二人』中村航著 文藝春秋 1750円+税

 実話に基づいて書かれた小説である。北海道のボクシングジムから生まれた、史上初のチャンピオン、畠山昌人。彼をチャンピオンにしたのは、父親のジム運営を継いだ女性トレーナー、赤坂裕美子。チャンピオンを育てた女性トレーナーというのも史上初である。赤坂裕美子は赤坂ひかるとして、畠山昌人は畠山雅斗として描かれる。全身全霊で日々を遊び暮らしていた少女は、どこにでもいるような勉強嫌いのおてんばな女の子として成長する。彼女が高校生のとき、元ボクサーの父親は札幌にジムを開く。高校を卒業後、就職するも、脳梗塞で倒れた父親にかわってボクシングジムで働きはじめる。

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