Before The GameBACK NUMBER
そんなヤツがうまくなれるか。
~鈴木誠也と中村奨成の、ヤンチャ
すぎる中学時代という共通点~
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/09/27 16:00
準決勝・天理高戦5回、大会新記録となる6本目の本塁打を放ち、笑顔でベンチに戻る中村選手。
「よくあの子を獲ったな」
2010年の春。いつものように全国の高校に新入生が入学する中、東京の高校野球の監督の間では、ある一人の選手の進路の話題で持ちきりとなっていた。話の主は前年のリトルシニアリーグ全国大会でベスト8まで進出した荒川リトルシニア出身の鈴木誠也だった。その打撃センスはもちろんだが、肩も強く、足も速い。ずば抜けた運動能力の高さで、どの監督も喉から手が出るほど欲しい逸材だったが、一つだけ大きな問題を抱えていた。
やんちゃすぎるのである。
感情の突出が激し過ぎて、試合中に相手チームの選手と掴み合いにならんばかりの問題を起こし、ヘルメットを叩きつけることが何度もあった。私生活も荒れているという噂は、監督たちの間に瞬く間に広がっていた。