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4部から2年連続昇格でセリエB復帰!
パルマは破産からどう立ち直ったか。
posted2017/07/14 08:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Kyodo News
何もかも燃え尽きた灰の中から、パルマFCが蘇った。
先月17日、パルマはイタリア3部レーガ・プロの昇格プレーオフを制し、来季のセリエBへの切符を手にした。
悲劇のクラブ消滅から2年。彼らは再び全国リーグの晴れ舞台に帰ってくる。
「今まで苦しんだ分、この昇格の喜びは格別だ」(主将ルカレッリ)
2年前の'14-'15年シーズン、当時の首脳陣による粉飾決算とマネーロンダリング疑惑などによって、パルマFCはシーズン中の破産という未曽有の混乱に見舞われた。
200億円を越す巨額の債務が発覚したパルマは、ホームスタジアム「タルディーニ」での試合運営資金すら捻出できず、リーグ機構からの金銭的支援を受けた。すると、他の地方クラブから「不公平だ」と非難が巻き起こり、アウェーゲームでの野次と中傷も激しさを増した。
チームは断トツのセリエA最下位に終わり、破産によって2部降格どころか4部アマリーグからの再出発を余儀なくされた。
何カ月も賃金未払いに苦しんだ挙句、破産処理のために正当な契約に記されていたはずの報酬を債権放棄させられた選手たちが、忌み嫌うようにパルマから一目散に逃げ出したのも無理はない。
主将だけが1人パルマに残った。
ただ1人、ベテラン主将ルカレッリだけが“後始末”のために残った。クラブは潰れたが、元職員の救済や新クラブ設立のために、法的サポートは絶対に必要だった。支援を陳情するため、ルカレッリは足繁くパルマ地方裁判所に1人通った。
昇格を決めた直後の第一声に、2年前に味わった悲痛な思いが込められている。
「あのシーズンの間、どれだけ情けなくてどれほど悔しい思いをしたか、俺たちにしかわからない。『潰れたクズども』、『売れ残り』と詰られるのは、この上ない屈辱だった」
パルマは灰塵となった。誰もが打ちひしがれた。
だが、町には“ここからサッカーを絶やしてはならない”という誇りがあった。地元の意地、と言いかえてもいいかもしれない。