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柿谷曜一朗の表情が変わった理由。
ロティーナ流セレッソの大転換。
text by
小田尚史Hisashi Oda
photograph byGetty Images
posted2019/02/22 07:00
タイキャンプでの実戦で勝利したセレッソ大阪。クラブの象徴である柿谷曜一朗らとロティーナ戦術はどんな化学反応を起こすか。
クラブの象徴・柿谷も楽しそう。
また、クラブの象徴である背番号8を付ける柿谷曜一朗も、今季は楽しそうにボールを蹴る姿が目立っている。
昨季のリーグ戦最終節の2日前のこと。前体制での最後の紅白戦で控え組に回った柿谷は、前線から降りてくると、ボールをいったん止め、周りを使ってじわじわ陣形を高めていくポゼッションスタイルを貫いた。
当時の指揮官、尹晶煥監督の縦に速く攻めるスタイルとは真逆のやり方。結果、最終節の横浜への遠征メンバーからは外れ、チームは尹晶煥監督が貫いてきたサッカーで2-1の逆転勝利を収めた。
「もっと後ろから(ゲームを)作っていきたい」
昨季の途中からそう訴え続けていた柿谷にとって、今季のやり方は、「チャレンジし甲斐がある」サッカー。プレシーズンでのトレーニングマッチでは、イバンコーチ、小寺真人通訳と3人で話し込む姿もよく見られた。
いたずら小僧のような笑み。
2月8日に行われた横浜FMとのトレーニングマッチでは、1-0で迎えた試合終盤。GK飯倉大樹の位置が高いと見るや、ハーフウェーライン付近から迷わずロングシュートを狙った。
2007年のU-17W杯グループリーグ最終戦のフランス戦で決めたスーパーゴールを思い起こさせる一撃に、飯倉は慌ててバックステップを踏んだ。飯倉がかろうじて手に当てたことでボールはクロスバーを直撃してゴールこそならなかったが、奇想天外な発想は心が充実している証か。
試合後、整列して飯倉と挨拶を交わす際、いたずら小僧のような笑みを浮かべて握手する柿谷の姿が印象的だった。
「今季はとにかくピッチの上でやるしかない。結果を出すしかないと思っている」
不退転の覚悟で今季に臨む彼のプレーぶりも、今季のセレッソの注目点の1つとなる。