猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックスに次世代の“足”が誕生。
投手から転向した佐野皓大の可能性。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byORIX Buffaloes
posted2019/02/22 10:30
首脳陣からの期待も大きい佐野。現在の課題は盗塁のスタート。コンマ数秒を縮めるための努力を惜しまない。
“足のスペシャリスト”を好む監督。
昨年7月に、足と守備力を買われて支配下登録を勝ち取ると、昨年の最終戦で代走として一軍デビューを果たした。
そして5年目の今年、一軍キャンプに抜擢され、存在感を発揮している。紅白戦では常にスタメンに名を連ねながら、それに加えて試合終盤には代走でも起用され、“足のスペシャリスト”として育成しようとする首脳陣の意図が見える。
昨年はルーキーだった福田周平や4年目の小田裕也が試合終盤に代走として起用されるケースがあったが、2人はシーズン途中から先発起用されることが多くなった。西村監督は言う。
「去年までの足が使える選手が、レギュラーとして出るということは、また誰か(足を使える選手を)作っていかなきゃいけないということ。やっぱり足の速い選手が、ゲームの中でこちらが期待している通りに、盗塁にしても走塁にしても結果を出してくれれば、チームも強くなっていけると思います」
打ちたいけれど、まずは足。
指揮官の期待の大きさは、佐野自身ひしひしと感じている。
「監督自身もスイッチヒッターだったし、盗塁王にもなった人なので、結構気にかけてくれているのは感じます。だから、それに応えないと、と思うし、打てなかった時は監督の目を見れないです(苦笑)。
レギュラーももちろん狙いたいですけど、まずは足と守備。そりゃあ打てないと悔しいし、打ったら嬉しいけど、それより盗塁やいい走塁をしたほうが、自分としてはアピールになるかなと思う。監督は足のスペシャリストを作ると言ってくれているので、まずはその要員に入りたい」
佐野が今課題としているのが盗塁のスタートだ。キャンプで臨時コーチを務めた福本豊氏には、構えた位置から目線を上下させることなく、横にスムーズに移動するようアドバイスされた。その他、現役時代に走塁のスペシャリストとして名を馳せた巨人の鈴木尚広外野守備走塁コーチの映像を研究するなど、コンマ数秒を縮めるための努力を惜しまない。