プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
ジャイアント馬場没20年追善試合。
棚橋弘至が全日本三冠王者にかけた技。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2019/02/20 17:30
棚橋弘至にも宮原健斗にも、馬場さんから流れるプロレスの系譜が染み込んでいるのだ。
宮原は棚橋の背中を追い続ける。
そんなプロレスの日、宮原は現在では1本になった三冠ヘビーのベルトに加えて、その原点であるインターナショナル、ユナイテッド・ナショナル、PWFの3本のベルトを体に巻いてリングに登場した。
試合は宮原がヨシタツを押さえこんで勝利したが、棚橋は宮原に馬場が1974年12月2日、鹿児島でジャック・ブリスコを倒して初めてNWA世界ヘビー級王座を奪取したときの決め技だったランニング・ネックブリーカー・ドロップを放って見せた。
棚橋は自分の技として飛びつき回転式のネックブリーカーであるスリングブレイドを使っている。広く言えばこれも変形のランニング・ネックブリーカー・ドロップで「馬場技」ということになる。
宮原は棚橋に特別な思いを持っている。試合では激しいキックも棚橋にお見舞いした。
「ボクが背中を追いかけて来たプロレス界でただひとりの人。これからもその背中を追っていきたい」
同じオールスター戦に出場しても、宮原はバトルロイヤル、棚橋はメインイベントとくっきり分かれていたステータスを、同じリングで戦えるところまで持ってくることができた。
それでも、宮原はまたコツコツともっと上を目指す。
棚橋もまた、宮原にエールを送った。
「宮原選手は本当に宝だなと思いました。本当に明るい光を放っているので、まるで昔の棚橋、いやボクを超える素材になるんじゃないかなと思います」
試合終了後、肩を組んだ2人。もしかしたら、この日がきっかけになって、宮原と棚橋に次の接点が生まれるかもしれない。