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楽天・三木谷オーナーの打診で改名。
「卓丸さ~ん!」が増した逞しさ。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2019/02/20 10:30
楽天で進境著しい卓丸。今季からの新しい打撃フォームを体に沁み込ませようとしている。
大卒の辰己、小郷が入団。
本当にいいタイミング――登録名の変更は、卓丸の決意表明のようなものだ。
高卒入団で5年目の今年、同世代の大卒選手が入団した。楽天ではドラフト1位の辰己涼介と7位の小郷裕哉は、卓丸と同じ外野手だ。一方、卓丸は育成選手として入団。'17年に支配下登録を勝ち取り、翌'18年にはプロ初安打を放つなど一軍の舞台を経験した。
着実にステップアップする卓丸からすれば、“雑草魂”が沸き起こるのは当然である。
「ポジションが同じなんで、あのふたりはやっぱり意識しちゃいますよね。ライバル心剥き出しってわけじゃないんですけど、まだ自分からはなかなか話しかけられないですよ」
控えめに漏らしていたが、卓丸の眼光はプライドを覗かせるようにギラギラしていた。
「今年はやるしかない」
卓丸はそう口調を強めていたし、その準備は昨年のオフから着々と進めていた。
12月は野球の練習を一切せず、ウエートトレーニングを中心とした肉体強化に専念した。以前から食生活を改善し、サプリメントなども効果的に摂取していたこともあり、体重は80kgから84kgまでアップ。とりわけ、腕と肩の筋肉がひと回り大きくなった。
ついに固まった自分の形。
「より強い力でバットが振れるようになった」
そのことを実感したのが、年が明けた今年1月の銀次たちと行った自主トレだった。
同行したトレーナーから「ただ単に力を入れてスイングするのではなく、大きくバットを振ることを心がけたほうがいい」とアドバイスを受けた。
肉体改造で大きくなった体。トレーナーからの助言をもとに打撃フォームを変えた。神主のようにバットを立て、トップの位置を頭から極力離さないよう固定しながらバットを振り切る。
それは、まさしく銀次のようなフォームであり、本人からも「そっちのほうがいいよ」とお墨付きをもらったことで、卓丸の決心は固まった。
「今までの自分って、スイングする時にバットが寝ちゃっていたんです。前からフォームを何とかしたいって思っていたんですけど、自主トレで銀次さんやトレーナーさんからアドバイスをもらってやっと形ができたというか、『これでいこう』って決められました」