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新生ダルビッシュは柔らかい!
故障明けと思えない進化とは。
posted2019/02/17 17:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
屈託のない笑みが、印象的だった。
キャンプインを目前にした2月上旬。早々とキャンプ地アリゾナ入りしていたカブスのダルビッシュ有が、ブルペンで約45球の投球練習を行なった。
真っ青に澄み切った快晴ながら、夜明け前の最低気温は3度。寒風が吹きすさぶ中、午前9時ちょうどにグラウンドへ姿を見せたダルビッシュは、半袖のTシャツ、短パン姿でおもむろにキャッチボールを始めた。つまり、屋外へ出るまでに入念なアップを繰り返し、体を温めていた裏返しでもあった。
投げ始めたダルビッシュは、故障明けとは思えないほど、体全体の動きがスムーズで、けれん味なく右腕を振った。昨年8月のマイナー登板以来、約半年ぶりに見るまでの本音を言えば、「リハビリの延長」のイメージを持っていた。だが、実際は違った。トップの位置がややロックするかのような固さはなく、体全体が脱力するような動きで、しなやかにボールをリリースしていた。
無論、依然として調整段階の途上に過ぎない。
ただ、柔らかさを携えながらも、力感、躍動感が溢れるフォームのイメージが残った。
力は入れずに球がいくのがベスト。
素人ながら、その感想を伝えると、ダルビッシュは大きくうなずきながら言った。
「それはうれしいですね。自分でビデオとか見てないから分からないですけど、今日もいい球が多かったと思うので、そうであればうれしいです。それはベストですね。自分は力を入れていないけど球がいってる、という方がいいので」
この日は、最新機器で1球ごとに球速、スピン数、軌道、軸などを計測し、小まめにチェックしながら投球を続けた。
まだ、力加減をセーブしながらも、最速は93マイル(約150キロ)だった。
「去年(の同時期)より全体的に2マイルくらい速かったですし、スピンも100回転くらい多いと言われて、そういうのを見ると自信になると思いました。ブルペンで93マイルなんか、普通、なかなか出ないですから」