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テコンドー元世界女王・濱田真由が
30%の出来でも日本一を狙う理由。

posted2019/02/10 10:00

 
テコンドー元世界女王・濱田真由が30%の出来でも日本一を狙う理由。<Number Web> photograph by Koji Fuse

濱田真由はかつて世界一に輝いた経験を持つ。足の状態が万全でなくても、再び頂点を目指す意欲に満ちあふれている。

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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Koji Fuse

 テコンドーの濱田真由をご存じか。

 女子57kg級では長身の部類に入る174cmという背丈を活かした上段蹴りを得意とする、日本の切り札というべき選手だ。

 この韓国発祥のオリンピック競技は“蹴りのボクシング”と言われるほど、目にも止まらぬ速射砲のような連続したダイナミックな蹴り技が最大の魅力。濱田は兄の影響で小1からテコンドーを始め、2011年2月には全日本選手権に初出場で初優勝を果たし一気に表舞台へと躍り出た。

 オリンピックには、ロンドン、リオデジャネイロと連続出場を果たしている。

 2020年の東京も狙う濱田は、昨年7月から11月にかけ海外武者修行へと出かけた。行き先はオーストラリア、アメリカ、イギリス、クロアチア。最大の目的はイギリスで濱田と同じ女子57kg級の世界王者ジェイド・ジョーンズと一緒に練習することだった。

世界選手権女王がリオで屈辱。

「イギリスには、ほかにも強い女子がいっぱい。練習前にちょこっとやるコンディションを整えるようなテコンドー向けのウォーミングアップがとくによかった」

 最初の修行先であるオーストラリアでは同じ57kg級のフィンランド代表も参加した合宿に混ぜてもらった。

「私は復帰したばかりだったので、現地の町道場でちょっとずつ体を慣らしていこうと思いました」

 2015年の世界選手権で濱田は日本人選手として初めて金メダルを獲得するという偉業を成し遂げた。その流れで翌年のリオデジャネイロオリンピックでは優勝候補として期待された。しかし、選手としての最大の長所である伸びる蹴りを放つことなく後手に回り、2回戦敗退に終わった。

 いったい何があったのか。改めて敗因を訊くと、濱田は「リオではやらなければいけないという意識が強かった」と振り返った。

「でも、その時から股関節のケガがあったので、思うように練習を積めていなかったというのもあったかもしれない。それを理由にはしたくないですけど」

【次ページ】 股関節の負担をかける蹴り方。

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