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ブンデスとJ1の監督を比べてみた。
若手が多いドイツ、多国籍な日本。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto press
posted2019/02/08 11:30
バイエルンの監督を務めるニコ・コバチ。昨シーズンまでは長谷部誠の所属するフランクフルトを率いた。
監督の平均年齢は47.9歳。
ところで、ブンデスリーガ1部の監督を務めるためには、どのような素養が求められるのでしょうか。もしくは、その資格があると判断されるのでしょうか。
すべては各クラブのフロントサイドの決断次第であることを承知の上で、日本のJリーグのケースと比較しながら、その傾向を少し考察してみたいと思います。
まず、ブンデスリーガ1部を率いる監督の平均年齢は47.9歳(2019年2月6日現在)。最年長はデュッセルドルフのフリートヘルム・フンケル監督で、65歳。最年少はホッフェンハイムのユリアン・ナーゲルスマン監督の31歳。ちなみに今季のJ1リーグ18チームの監督の平均年齢は52.2歳で、最年長は浦和レッズのオズワルド・オリヴェイラ監督の68歳、最年少はガンバ大阪の宮本恒靖監督の42歳となっています。
またブンデスリーガ各監督の中で最もチーム在籍年数が長いのは、2015年2月に就任したヘルタ・ベルリンのパル・ダルダイ監督の約3年9カ月(Jリーグは2012年から指揮を執り今季8年目の湘南チョウ・キジェ監督と松本・反町康治監督)となっています。
指揮官の年齢層をもう少し詳しく見ると、年代別ではブンデスリーガは30代指揮官が3人、40代が7人、50代が5人、60代が3人と、若手の台頭が目立ちます。一方、Jリーグは30代の監督は1人もおらず、40代が7人、50代が8人、60代が3人と、40代と50代にほぼ集中しています。
全員がドイツ語を解せる。
次にブンデス各クラブの監督の国籍を見てみましょう。ドイツ14人、オーストリア1人、スイス1人、オランダ1人、ハンガリー1人と、圧倒的に自国出身の指導者であることが分かります。
加えて、これは特筆すべき点でしょうが、アドルフ・ヒュッター監督(オーストリア/フランクフルト)、ルシアン・ファブレ監督(スイス/ドルトムント)の母国はいずれもドイツ語圏。そしてダルダイ監督(ハンガリー/ヘルタ)は現役時代と指導者時代に長くドイツに住み、言葉を十分に習得しています。
残りの1人、今年からレバークーゼンの指揮官に就任したボシュ監督(オランダ/レバークーゼン)はドイツ語圏ではないですが、「ドイツとの国境の近くで育った(オランダ、アペルドールン)ため、ドイツ語のテレビなどで自然に覚えた」と語り、実際に昨季ドルトムントの監督に就任した際は流暢なドイツ語でインタビューに答えていました。
つまり、現在ブンデスリーガ1部で指揮を執る監督はすべてドイツ語を解せるわけです。