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高卒3年目DeNA京山将弥の高い目標。
ローテ定着、2桁勝利へ越えたい壁。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2019/02/06 08:00
京山は2018年、6勝6敗、防御率5.64の成績を残した。ベイスターズの若きエースとなるための大事な1年となる。
大家コーチが語る京山評。
5月以降は、一軍と二軍を行き来しながら苦しい時間がつづいた。チャンスは与えられるものの、首脳陣を納得させるような投球をすることはできなかった。
ファームにいる間、大家友和ピッチングコーチから諭されたのは、技術的なことよりもメンタル面だった。それも固い口調ではなく、くだけた感じで「気楽に行けよ」といったようにリラックスして力を発揮することを促した。京山は中学生時代、大家コーチが設立した草津リトルシニアに所属しており、両者は古くから知る関係にある。
かつて大家コーチは京山について次のように語っている。
「彼は非常にまとまりのある頭のいいピッチャー。ひとつ何かを与えると、何種類もの考え方ができる能力があるので、そのへんは子どものころから知っているし、あまり心配してはいないんですよ」
そして昨季、最高のピッチングとなったのが9月21日の中日戦。引退登板をした加賀繁の後を受け1回1アウトから継投すると、9回まで投げ切り1失点の準完投。脱力の効いた投球は、要所で相手を抑え込み、自身6勝目を飾った。
山田哲人に打たれたホームラン。
だが京山に聞くと、この登板より次戦となった10月3日のヤクルト戦の印象のほうが強烈だったという。昨季最終登板となった試合で京山は、わずか1回でマウンドを降りている。
「山田哲人選手に打たれたホームラン。あのときのことは鮮明に覚えていますね……」
カウント3-2からの6球目、京山は山田がそれまで見逃し、追い込んでいたカットボールを外角低めに投げた。ゾーン一杯に行ったベストなボールだったが、山田は見事にとらえライトスタンドへ運んだ。
「悔しかったですね。まあまあいいコースに決まったんですけど、あれをホームランにするんやと……。最後の最後で厳しさを改めて知った試合になりました」
一軍デビューイヤーは自身にとってインパクトのある乱高下の1年だった。しかしながら、高卒2年目とは思えぬ堂々としたマウンドさばきをみると、今季への期待は高まるばかり。
また思うのは、昨季、京山はキャッチャーのサインにほとんど首を振らなかった。大家コーチが言うクレバーさがある京山ならば、自分の意志で自信をもって投げるボールをもっと増やしていってもいいはずだ。そういう意味では、あらゆる面で伸び代があるといえる。