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栗原勇蔵「失恋じゃないんだけど」
中澤佑二が抜けたマリノスを守る男。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/02/07 11:30
中澤佑二と栗原勇蔵、マリノスの守備陣には彼らの魂がこもっている。
栗原も中澤の引退に驚いた。
近年の中澤はひざの痛みとも戦っていた。昨季8月の鹿島アントラーズ戦でベンチから外れ、J1フィールドプレーヤー最多連続出場記録(199試合)、同フルタイム出場記録(178試合)が途切れた。
9月には左ひざを手術し、懸命にリハビリに取り組んでいた。最終節(12月1日)、セレッソ大阪戦の終盤に途中出場して健在を示し、クラブからも契約延長オファーを受けていた。今年41歳になるとはいえ、中澤の経験値に頼るところは大きい。それだけに引退表明は衝撃を与えた。
栗原も、現役を続けると思っていたという。
シーズン後の納会で「ひざの状態を考えると、(続けるかどうかは)フィフティーフィフティー」と本人からは聞いていた。
「いや、それでもやめないと思っていましたよ。あんだけサッカーを好きな人だから、はいつくばってもやるんじゃないかって。だから、引退すると聞いてびっくりした。信じられなかった。
俺自身、見たかったというのはあります。(近年の自分は)ケガが続いたり、序列も下がって何カ月も試合に出られなかったりする。この年になると、実戦から離れるというのは体の部分でも厳しい。じゃあボンバーなら、それをどう克服するのかっていう興味も凄くあったから」
上が抜け、自分が最年長者に。
2019年のユーゾーは、チーム最年長者となった。
石垣島キャンプでは率先してファンサービスに応じる彼の姿も。チーム全体を気にかけたり、さりげなく目を配ったりすることも意識しているようだ。
「もしチームに何かあったら、最年長者の責任かなって俺は思っているし、自分が見ていかなくちゃいけない部分はあるから。ただ、バリバリ試合に出てピッチで引っ張れれば一番いいけど、戦力にはなれていない現状がある。最年長になって、チームのために自分ができることをやっていくしかない」