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東浜巨が後輩・千賀の自主トレで
発揮したハンパじゃない引き出し。 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKoutaro Tajiri

posted2019/01/30 10:30

東浜巨が後輩・千賀の自主トレで発揮したハンパじゃない引き出し。<Number Web> photograph by Koutaro Tajiri

東浜巨はチームメイトの千賀も参加した自主トレで、じっくりとフォームをチェックし直していた。

石川柊太らも教えを請うた。

 過去2年間の同時期に、鴻江寿治氏の提唱する「うで体(猫背型)」「あし体(反り腰型)」に基づいた投球フォームづくりについて、当コラムでは綴ってきた。一昨年は石川柊太、昨年は川原弘之(ともにソフトバンク)を取り上げている。

 その2種類の違いを生み出すのが骨盤の形だ。「うで体」は右の腰がかぶって(通常よりも前に出て)、左の腰が開いた(後ろに引いた)状態を指す。「あし体」はその逆で、左の腰が前に出て、右の腰が後ろに引いた状態だ。東浜のフォームは、後者の「あし体」となる。

 これを前提として投球フォームを作っていく。

「右(軸足)に体重を乗せてはいけない」

「インステップが、君にとっての真っ直ぐなんだ」

「腰を横回転させて、体を回してあげなさい」

 おそらく、野球経験者ならば、すべてタブーとされることばかりである。軸足に乗せろ、捕手方向へ真っ直ぐ踏み出せ、開くな、と幼いころから指導されてきたはずだ。

最初はふむふむなるほど、が。

 東浜も例外ではない。

「最初聞いた時はふむふむなるほど、と思いましたが、考えていくと『アレ?』って頭がボーっとしてきちゃいましたね(笑)」

 骨盤が被っている側の方が人間の体は強い。「あし体」の東浜ならば左半身を生かした方がいいという考え方だ。右半身に頼ってしまえば、それが軸足であろうと本来持つ能力を発揮できなくなる。

 踏み出す足も骨盤の向きのままだ。「あし体」の右投手の場合、結果的にインステップに見えるだけ。そして、人間の体は、縦は回りにくく横は回しやすい。回転することでひねりのパワーが生まれるのだから、縦ではなく横回転しなければならないのだ。

【次ページ】 最多勝投手が持つ吸収力。

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