プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
IWGP王者・棚橋弘至に感じる不安。
2月の大阪で思い出す、あの敗北感。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2019/01/30 11:30
一旦はオカダ・カズチカ時代へ傾いた流れを、一気に引き戻してみせた棚橋弘至。この栄光は、いつまで続くのか?
恐るべき勢いをもった挑戦者。
当時インターコンチネンタル王者だった棚橋は、2018年の1.4東京ドームでホワイトの挑戦を受け、なんとか防衛には成功したが、試合ははっきり言って「消化不良」という感じしかしなかった。
試合後、ホワイトに対して「まだ、まだ」とか「荒い」とかいう言葉が棚橋の口から聞こえた。
だが、1カ月もたたない1月28日、札幌でケニー・オメガを倒してUS王座を奪ったホワイトは、驚くべきほどの勢いをつけていた。その勢いのまま、7月のG1クライマックスではオカダ、棚橋を次々に倒して、新日本プロレスをひっかきまわしたのだ。
憎たらしいくらいにずるがしこさを増した男は、2019年の1.4東京ドームでまたオカダからピンフォールを奪うと、新IWGP王者になったばかりの棚橋の前に立ちふさがった。
もう、1年前に感じたグリーンボーイだった時代のイメージは払拭していた。
IWGP挑戦の十分な資格はある!
その後も、ホワイトはのらりくらりのファイトでいいところだけ持っていくスタイルで戦い続け、棚橋やオカダを苦しめ続けていた。
棚橋は、誰でもすっと前に立てば挑戦できるというような、なし崩し的なパフォーマンスは否定してきた。
初めてホワイトが棚橋の前に現れた時には、露骨に嫌な表情を浮かべたものだ。だが、今回のホワイトは言っただけのことをやり遂げての、IWGP挑戦なのだ。