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思考すら振り切る「大坂なおみ時代」。
なぜ彼女だけが達成できたのか。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byAFLO
posted2019/01/27 12:30
世界ランキング1位となり、表彰式でも「スーパースター」と紹介された。「大坂なおみ時代」が本当に来たのだ。
思考がついていかないほどの状況。
大坂は以前、「私はネガティブな考えになりやすくて、たとえば0-30になったらそのゲームはどこかでもうあきらめてしまっている」と言っていたことがあるが、この決勝戦では0-30どころか0-40からキープした大事なゲームがあった。台湾のシェイ・スーウェイとの3回戦でも、ほとんど負けを覚悟した場面で相手のサービスゲームを40-0からブレークした。切れそうで切れない、崩れそうで崩れない。その執念と気迫は、0-6、0-5からでも試合をひっくり返すイメージのセリーナと重なる。
やっと現れた“ポスト・セリーナ”はこの先、その背中にどこまで近づくのか。“なおみスラム”はもちろん、セリーナさえ成し遂げていない年間グランドスラムも可能性はある――正直言ってそんな状況に思考がついていかない。楽しみというよりむしろ恐怖に近い感覚である。