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全日本バレー女子主将・岩坂名奈。
リーダーになった元“いい子ちゃん”。 

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph bySho Tamura/AFLO SPORT

posted2018/12/29 10:00

全日本バレー女子主将・岩坂名奈。リーダーになった元“いい子ちゃん”。<Number Web> photograph by Sho Tamura/AFLO SPORT

平成最後の天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権は、久光製薬が2年ぶり7度目の優勝を果たした。

得意なブロックでも差が。

 同じミドルブロッカーの荒木絵里香、奥村麻依と比べて、自分に足りないものは明らかだった。スパイクでは打てるコースの幅、威力、バリエーション、すべてが劣っていたし、これまでは「得意なプレー」として胸を張れたブロックでも、相手の攻撃を仕留めるブロックポイント、次の攻撃につなげるタッチの数も歴然としていた。

 全日本でディフェンス面を統括し、久光製薬でもコーチを務める豊暉原峻はこう言う。

「重心の移動、ステップの前に体が浮いてしまうと、ジャンプや手を出すのも遅れてしまう。まずは動きにフォーカスしていけばいいのですが、よくない時ほど結果を求めてとにかく『手を出さなきゃ』と焦ってしまうんです。でも、リードブロックに対しても積極的にチャレンジしているし、判断する力を突き詰めれば上に到達するのは早い。あの高さは絶対武器になるのは間違いありません」

 高校時代から周囲よりも頭1つ大きくて、ブロックの際はその場で跳べばよかった。久光製薬に入ってからもデータを元に、事前に「このローテはここへ跳ぶ」と指示される。考えることなく、決まったルールに従って動くだけでよかった。

 だが世界を視野に入れれば、そのままでは勝負できない。セッターを見て、アタッカーの動きも見て、トスの上がった場所に素早く反応するリードブロックは、まさにその名の通り“読む”力が求められる。国内では随一の高さも、それだけでは武器にならない。

もっとダイナミックさを。

 攻撃面も同様だ。同じ場所から同じコースに打つだけでは簡単に対応され、ラリー中もアタックラインの後ろまでしっかり下がって助走する海外のミドルブロッカーと比べて、ネットに近い位置から攻撃を仕掛ける岩坂のスパイクには威力がない。

「高校の頃からずっと、ネットのところでただちょこちょこ、ちょこちょこしているだけでしたからね(笑)。それでいい時もあるかもしれないですけど、世界を相手には通用しない。もっとダイナミックさを出していかなきゃいけないですよね。

 今、移動攻撃にも取り組んでいるんですけど、手応えがあるかと言われたら、全然。まだまだです。だから今は、ルーク(フォルケ・アキンラデウォ)や(荒木)絵里香さんを見て、取り入れられることは全部やらなきゃ、と思っているし、もっと頑張って、もう少し経ったらブロックでもスパイクでも『手応えを感じられるようになりました』と言えるようになりたいです」

【次ページ】 久光製薬の主将も引き受けた。

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