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4連覇&世界記録はあくまでステップ。
東京に向け、瀬戸大也の挑戦は続く。
text by
田坂友暁Tomoaki Tasaka
photograph byAFLO
posted2018/12/26 16:30
来年7月に韓国・光州で開催される世界選手権を制し、東京五輪代表の座を掴むことがまずは目標となる。
思わず弱音を吐く場面も。
その2年後にカタール・ドーハで行われた第12回大会では、3分56秒33の短水路日本新記録とともに400m個人メドレーを連覇。さらに200mバタフライでも短水路日本新記録で銀メダル、200m個人メドレーでは銅メダルと3つのメダルを獲得。
パンパシフィック水泳選手権、アジア競技大会と2014年の夏シーズンは思うような結果を残せなかった瀬戸にとって、その鬱憤を晴らす結果で締めくくることができた。
さらに2年後の2016年。リオデジャネイロ五輪で夢の五輪出場を果たした瀬戸だったが、得意な400m個人メドレーでライバルの萩野が世界一に輝き、アメリカのチェイス・カリシュにも敗れての3位。
初の五輪で自己ベストを更新し、さらにメダルまで獲得したことは、外から見れば大健闘の結果だ。しかし、金メダルを目指していた瀬戸にとってみれば、悔しさしか残らない結果であった。
どこかその悔しさが尾を引いていたのだろうか。3連覇がかかった、2016年のカナダ・ウインザーでの第13回大会では、初日から思うようなレースができず、思わず「調子、悪いですね」と弱音を吐く場面も見られた。
「負けた選手のほうが得られるものは大きい」
だが、400m個人メドレーが行われる前日、日本代表チームは出場した6つの決勝種目で、7つのメダルを獲得するメダルラッシュ。瀬戸自身も100m個人メドレーと4×200mリレーでそのうち2つのメダルを獲得する。
その勢いに後押しされるように、翌日の400m個人メドレーを制し3連覇を達成。そこで瀬戸は、興味深い言葉を残している。
「今年、五輪も含めてたくさんの経験をしてきたなかで感じたのは、負けた選手のほうが、勝った選手よりも得られるものは大きいんじゃないか、ということです」
もちろん優勝がアスリートにとって最重要課題であり、それを達成することが何ものにも代え難い喜びであることは間違いない。だが、敗北を知ることもまた、アスリートを更なる高みへと導いてくれる大切な経験なのである。