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4連覇&世界記録はあくまでステップ。
東京に向け、瀬戸大也の挑戦は続く。 

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田坂友暁

田坂友暁Tomoaki Tasaka

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posted2018/12/26 16:30

4連覇&世界記録はあくまでステップ。東京に向け、瀬戸大也の挑戦は続く。<Number Web> photograph by AFLO

来年7月に韓国・光州で開催される世界選手権を制し、東京五輪代表の座を掴むことがまずは目標となる。

北島康介もシドニーでは4位だった。

 かつての名選手も、負けを多く経験している。鈴木大地(現スポーツ庁長官)もロサンゼルス五輪で苦しみ、北島康介もシドニー五輪では100m平泳ぎで4位という結果だった。その敗北を糧に大きな成長を遂げ、次のオリンピックでは世界一に輝いた。

 瀬戸は、先の言葉にこう続けている。

「もちろん優勝したいですし、したほうがうれしい。でも、次こそ勝ってやるんだ、という強い気持ちを持って練習を頑張ろうと思えたり、さらに大きく成長できたりするのは、やっぱり負けた選手だと思うんです。僕も負けた選手。だから次の五輪では僕が勝つんだ、という気持ちで、ここからもう一度練習し直します」

挫折と勝利を繰り返して。

 世界水泳選手権(25m)で勝つ前に、瀬戸はこれまで必ず挫折を経験してきた。大小関係なく悔しさや挫折を経験したからこそ、自分はもっと強くなるんだという断固たる決意と鉄の意志を持つことができる。

 瀬戸は今年、結果だけを見ればパンパシフィック水泳選手権では200mバタフライで金メダル、アジア競技大会では200mバタフライと400m個人メドレーで金メダルを獲得しており、それほど大きな挫折はなかったように見える。

 だが、昨年夏の世界水泳選手権では3連覇を目指した400m個人メドレーで、チェイス・カリシュに惨敗し、今年のパンパシフィック水泳選手権でも、そのカリシュに力の差を見せつけられるような負け方をしてしまった。

 この敗北が、瀬戸を奮起させたのは間違いない。『カリシュに勝つには、前半から攻めるしかない』。その課題を最後まで貫き通し、この第14回大会の400m個人メドレーでも、300mまでは世界記録を1秒以上、上回るラップタイムで攻めるレースを展開した。

【次ページ】 「常に課題を残すのが彼らしい」

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