「メダルのための練習を模索中」

松岡「だから、リオでは終われない、となった」

吉田「そうです。次の東京パラリンピックは出るだけじゃなくて、勝つために出たい。ただそれが、今は大変なんですよ……。東京開催だから行ってみたいという選手が、国内はもちろん、世界中でも増えているんです」

松岡「あれ……ワイルドカードとかないんですか。日本人は必ず1人出られるとか」

吉田「開催国プライオリティはありません。あくまでも参加基準は世界ランク。またゼロからのスタートで、来年1月1日から、1年と3カ月にわたって予選会が始まります」

松岡「今の吉田さんにとって、課題はなんですか？　その課題をクリアするために、どう取り組んでいるんでしょうか」

吉田「いまは、メダルを獲るための練習の仕方を模索しているところです。国際試合にあまり出ていないので、ランキングが段々落ちてきています。

　徐々に試合にも出るつもりですが、今よりもっと技術を上げなければ世界では戦えない。前回のように、参加するだけのパラリンピックにしないように、気持ちの準備もしていきたいです」

松岡「『参加するだけの大会にしない』という言葉は、よくオリンピック選手からもお聞きする言葉です。最初の大会は、ただ参加しただけだった、と」

吉田「これまでは、パラリンピックは参加することに意義がある、と思ってました。でも、今はそんな時代じゃない。

　リオからの帰り道でも、メダルを獲った選手とそうでない選手は気持ちが全然違っていた。こんなにも差があるんだって、自分は気づかされた。一生懸命やって出たけど、予選で負けていたらダメです。やっぱり首からメダルをぶら下げないと」

松岡「でも、パラリンピックでの試合はすごく接戦だったわけですよね。自分の卓球はできたんですか」

吉田「できたとは思うけど、それ以上に、『パラリンピックはこういう舞台なんだ』って思い知らされました。

　対戦した中国の選手は自分よりランキングがずっと上で、強い選手なんです。でも、自分と接戦になっている。なぜかと考えたときに、彼もプレッシャーを感じていたんです。自分は相手が上なので挑戦者としてガンガンいけるけど、相手は守りに入っていた。それに観客もすごく入って、盛り上がりましたから。

　健常者の卓球よりも観客動員数が多かったくらいです。自分は大観衆の中でできて、うれしかったですけど」

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