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長谷部誠は常に変化しつつ生き残る。
AFC最優秀選手と、新体制での信頼。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byAFLO

posted2018/12/04 11:30

長谷部誠は常に変化しつつ生き残る。AFC最優秀選手と、新体制での信頼。<Number Web> photograph by AFLO

ドイツに渡って10年以上になるが、長谷部誠の出場試合が2ケタに届かなかったシーズンはない。

アジア以外を含めても稀有な存在。

 ベスト16に進出したW杯やポカール優勝などがその理由だと考えられるが、欧州へ渡り12シーズン目を迎え、34歳という年齢にもかかわらず、先発としてチームを牽引しているというのは、アジアの選手のみならず、ほかの国の選手でも限られた存在といってもいい。そういう長谷部の長年の実績を称える意味合いもあるような気がする。

 今季フランクフルトを率いることになったヒュッター監督にしても、シーズン当初は長谷部の起用に迷いがあったに違いない。ポカール敗戦後に3バックから4バックへシステムを変更し、前監督が厚い信頼を寄せた長谷部を外していることからもそれがうかがえる。

 34歳という年齢がその理由だったとしてもおかしくはない。しかし、2連敗を経て長谷部の復帰とともにチームは連勝を続ける。36得点と攻撃陣の爆発がその大きな要因だが、8失点という守備の安定感も目を引く。そこに君臨しているのが、リベロ長谷部誠なのだ。

 地元メディアも、ヒュッター監督の長谷部への信頼感を報じている。

「誠は大きなメリットをチームにもたらしてくれる。非常に豊富な経験を持っているし、ゲームの先を読む力も高い。ボールを持ったプレーも見事で、我々のビルドアップに欠かせない存在だ。そのうえ、守備をとても安定させてもくれる」

 コバチだけでなく、新監督からも信頼を得ていることに、長谷部のポテンシャルの高さを改めて感じた。

来シーズンのCLを狙える立場。

 34歳の長谷部には新しい目標がある。

「ヨーロッパリーグの上にはチャンピオンズリーグがあって、長友(佑都)や(香川)真司はその舞台でやっている。今、このチームはリーグ戦でも好調で3位につけているので、まだ気は早いですけど、来シーズンのチャンピオンズリーグを狙える位置にいる。だから、その舞台にこの年齢で立てたら、それは幸せだと思うし、今は明確な目標として持てるところまで来ているので、やっぱりやっていても充実しています。

 この年齢でヨーロッパの舞台でプレーできるというのは、選手として幸せなこと。いろんな監督とか、選手とかのめぐりあわせとかね、さまざまなことがあったからだと思います。でも、自分がこういう年齢でもこういう舞台でやっているというのを示すことで、またこれからの日本人選手のひとつの指針というか……できるんだというふうに感じてもらえるんじゃないかと思っています」

【次ページ】 次々と変化しながら生き残ってきた。

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