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「高3の堂安律と比べて足りない」
中村敬斗に響いた宮本監督の言葉。 

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下薗昌記

下薗昌記Masaki Shimozono

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/12/01 08:00

「高3の堂安律と比べて足りない」中村敬斗に響いた宮本監督の言葉。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

東京五輪世代として注目される中村敬斗。宮本恒靖監督も手塩にかけて育てている。

変化の予兆は8月にあった。

 滅多に若手を褒めない山口智コーチも「凄いなと思ったのは、あの試合でもあれだけ守備して、遜色なくやっていたこと。それに形はどうであれ、得点は得点ですからね。それは、流石やなと思いました」と手放しだ。

 中村敬斗という原石について、クルピ前監督は「チームで一番シュートが上手い」と評したが、実のところこの18歳が持ち合わせる最大のストロングポイントは、自らを客観視して、課題を見出す頭の良さである。

 変化の予兆が見て取れたのは8月18日に行われたJ3のザスパクサツ群馬戦である。宮本監督の就任後、トップチームではなくU-23で日々を過ごしていた中村だったが、實好礼忠監督の就任初戦で、先発すると見事に先制点を叩き出した。

 クルピ前監督に起用されていた当時とは異なり、明らかに体が絞れ、スピード感を見せ始めていた中村は、秘めた自信を口にしていた。

「クルピ監督の時にはJ1で微妙に試合に出ていたけど、それだとなかなか自分を追い込めない。J1でいいパフォーマンスを発揮できない時もかなり悩んだけど、本当に必要な練習が出来ていたかというと、そうではなかった。トップの人は高い強度で追い込まないので、それを考えるとU-23で今みたいに高い強度で練習しているのは僕にとってプラスになる」

實好監督と居残りで1対1練習。

 もちろん、トップから外された悔しさは1日として忘れることはなかったという。サッカー少年よろしく、自らの課題をノートに書き出したり、居残りで練習に取り組んだりした日々も、全て自らの意思によるものだ。

「居残りで最後までやっていると、先輩たちの車に乗れないので電車で帰ることになりますけどね」と寮までの道のりを1人で帰ることも珍しくなかったが、そんな中村を支えたのは若手の指導に定評ある實好監督だ。

「ノリ(礼忠)さん、やりましょう」

 トップとは異なり少人数で行われるU-23の練習後、中村はしばしば、實好監督と居残りで1対1に取り組んで来た。

【次ページ】 堂安、井手口、宇佐美に続く。

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