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故郷でのバスケW杯予選に燃える、
馬場雄大に必要な“エゴ”とは。
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byB.LEAGUE
posted2018/11/30 07:00
馬場は来年1月に地元・富山で開催されるオールスターのファン投票で、2年連続最多得票で出場決定した。
シックスマンとしての役割。
この試合の馬場は11得点。ダンクや3ポイントに加えてクロスオーバードリブルからのジャンプシュートも決めるなど、昨シーズンと比べてプレーのバリエーションが増えているところを見せつけた。
しかし、前述したようにビハインドからの猛追で目立つ働きを見せたのは田中とカーク。さらに言えば、チームに火をつけたのは3ポイントを7本中6本成功させた安藤だった。
スターターではなくベンチからの途中出場が多い馬場は、いわゆるシックスマン。コートに立った時、チームが波に乗っていればそれをさらに加速させ、劣勢の場面であれば流れを変える働きを求められるポジションだ。
「ダンクが勝敗に及ぼす影響」をテーマに大学の卒業論文を書いた馬場は、自身に与えられているシックスマンとしての役割を十分に理解している。
「前半は得点が止まってしまっていて、(田中)大貴さんもあまり調子が良くなかったので、積極的に(アウトサイド)シュートもアタックも狙っていったんですが、それが40分できたかというとそうではない。そこは反省点です」
渡邊、八村に刺激されて。
勝利を追求するチームの一員である以上、個々の選手はそれぞれに与えられた役割を遂行する必要がある。もちろん馬場にも田中やカークのように存在感を誇示したいという意欲はあるが、今はチームのために何をすべきかを最優先に考えているという。
「大貴さんとカークの2人中心の流れが今のアルバルクだし、それで実際に優勝もしている。今の自分に満足するわけにはいかないし、数字で結果を残さないといけないと思いますが、セルフィッシュになるとチームを壊してしまう。試合の中で、今何が最善なのかをしっかり見るようにしています」
そんな馬場を刺激する出来事が今年は相次いでいる。1つ年上の渡邊雄太がメンフィス・グリズリーズで日本人2人目のNBAデビューを果たし、中学校の2学年後輩でもある八村塁はアメリカの強豪ゴンザガ大学でチームのエースとなり、来年のNBAドラフト上位指名が有力視されている。
近い将来のアメリカ挑戦を公言している馬場に「彼らに負けられないという気持ちが湧いてきているのでは?」と水を向けると、即答で「もう、それしかないです」という答えが返ってきた。