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「寄せ集めチーム」からの脱却なるか。
関東学生連合チームの見せる意地。 

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箱根駅伝2019取材チーム

箱根駅伝2019取材チームhakone ekiden 2019

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photograph byYuki Suenaga / Kiichi Matsumoto

posted2018/12/18 10:45

「寄せ集めチーム」からの脱却なるか。関東学生連合チームの見せる意地。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga / Kiichi Matsumoto

連合チームならではの難しさ。

 一方で、関東学生連合チームは例年、こういった特色と実力のあるランナーたちを擁しながら、近年は実力を発揮できているとは言い難い。前回大会は最下位相当の21位に沈み、前々回大会も20位相当と、苦戦が続いている。やはり自身の大学で出場を逃したというモチベーションの低下に加えて、選手同士もスタッフも常に一緒に練習しているわけではないため、調子やピーキングをあわせにくいという事情もあるのだろう。

 そこで問われるのが、監督の手腕だ。例年、関東学生連合チームの監督は予選会で次点で敗退した大学の監督が務めることになっている。

 10年前には前身の関東学連選抜チームが4位に食い込んだこともあったが、その時の監督はまだ箱根路の経験のなかった青山学院大学の原晋監督だった。関東学連選抜チームを躍進させた自信を胸に、翌年の箱根駅伝本大会に青山学院大学を出場させると、その後の活躍は周知の通り。

 原監督と同じ中京大学のOBで、ここ数年で麗澤大学を一気にジャンプアップさせている34歳の山川監督にも大きな期待がかかる。

「正直、予選会の直後は関東学生連合チームの監督をするということまで全然、頭が回らなくて。『自分にそんな大役が務まるのか』と引き受けるかも含めて悩んだ部分はあります。でも、予選会の日の夜にウチの4年生のご両親と食事に行ったんですけど、そこで『チームで箱根路に行くことはできなかったけど、今年1年間やってきた選手が監督に持ってきてくれたプレゼントですよ。それで運営管理車に乗れて、一足先に箱根を見られるというのは、彼らの頑張りの結果なんじゃないの』と言われて、確かにそうだな、次点まで選手に連れてきてもらえたんだなと思いました。だからこそ『これは本気でやらないとな』と」

 山川監督がそう語るように、それぞれの選手はチームの他の選手やスタッフたちの汗と、想いもたすきに乗せて走ることになる。それゆえに、普通のチームが持ちえない見えない力を発揮する可能性も十分にあるはずだ。

 もし、その力が100%出せたとしたならば――記録には残らないけれど、きっと多くのファンの記憶に刻まれるチームになっているはずだ。

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