【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
『グラゼニ』凡田夏之介が
池田純にガチンコ人生相談!
posted2018/11/29 07:00
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Number/Morning
2018年、秋も深まった頃――。
仙台ゴールデンカップスの左腕・凡田夏之介は、東京・千代田区紀尾井町にある出版社・文藝春秋を訪れた。
横浜DeNAベイスターズの前球団社長で、今もさまざまなスポーツに関わる池田純さんが学長を勤める「Number Sports Business College」での、池田さんとの公開対談に出席するためだ。
以前は緊張を紛らわすため、慣れないラジオ出演時に酒をあおり暴言を吐いたこともあった夏之介だが、今日はあえてお酒を飲んでいないようだ。少し緊張した表情にも見える。
スポーツビジネスに関心を持つ受講生を前に、池田さんは球団社長時代、宜野湾での春季キャンプ中に『グラゼニ』を球団職員に読ませたことがあると話し、夏之介をリラックスさせながら対談を進め、話を引き出していった。これまでのキャリアのこと、所属した球団それぞれの特徴やスタジアム談義など……。
今や「勝ち組」の凡田だが。
しばらく話が進んでから、夏之介はおもむろに、池田さんに話しかけた。
夏之介「僕、池田さんに、どうしても相談したいことがあるんです」――。
高校生ドラフト5巡目で神宮スパイダース入りした凡田は、メジャーリーグを含めてこれまで、4つの球団に所属してきた。使い勝手のいい変則左腕として、スパイダースではプロ入り以来、ワンポイントの中継ぎで使われてきたが、チーム事情もあり先発にリリーフにと大車輪。トミー・ジョン手術を経て現在プロ15年目の32歳となった。
プロ野球選手が現役でいられる平均年数が9年ほどといわれている中、十二分に活躍してきたといえる。億を超える複数年契約を勝ち取り、今なら自分の年俸より下の打者のほうが多くなった(=ビビらなくなった)。プロ野球選手としては、明らかに「勝ち組」といえるだろう。
夏之介「悩みが、あるんです……。それは、将来への不安なんです!」
堰を切ったように、夏之介は池田さんに自分の心境を吐露していく。