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バド混合ダブルスの渡辺と東野が
天敵・中国ペア撃破の先に見た世界。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byImaginechina/AFLO
posted2018/11/25 08:00
渡辺勇大、東野有紗組が切り開いてきた日本における混合ダブルスの新しい地平は、そのまま東京五輪に続いているはず。
新コーチで戦術的選択肢が増加。
ジェレミー・ガン氏が専任コーチに就任するまで混合の指導をほとんど受ける機会がなかった2人にとって、その教えは覚醒へとつながった。
全英オープン後、渡辺は「本能的な動きでプレーすることが多かったが、スペースの使い方など戦術的な考えを持てるようになった」と話し、東野も「ジェレミーさんが増やしてくれたアイデアやプランをもとに、自分たちで話し合う時間も増えた」と自らの変化を実感。2人の特性を理解したジェレミーコーチの的確な指示に導かれ、ペアとしての能力が一気に開花した。
タイトル以上に大事なものを得た2人。
「全英で優勝できたことが本当に大きな自信になってプレーできていましたし、(渡辺)勇大くんと一緒に『継続的に成績を残せるように』と声を掛けあいながらやってきました。
1つずつ積み重ねてきたことが、ベスト8以上の結果をコンスタントに残すことにつながった。私たちにとって価値のある1年になったと思います」
全英オープンで2人が手にしたものは、“優勝”というタイトルや“日本混合ダブルス史上初”という快挙以上に大きなものだった。
中学時代からペアを組む2人はこれまで以上に、自分たちがいかに戦うべきかという話し合いやコミュニケーションが増え、さらに試合経験を重ねることで、戦い方のバリエーションや引き出しが増えたことを実感している。
全英オープン前(3月15日付)は48位だった世界ランキングも、最新(11月15日付)では5位と大きくランクアップ。目を見張るものがある。