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開幕わずか8戦での監督交代から、
Bリーグ渋谷が目論む逆襲プラン。
posted2018/11/22 07:30
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph by
B.LEAGUE
サンロッカーズ渋谷がヘッドコーチ交代の断を下したのは10月26日。60試合に及ぶ長いシーズンの開幕からまだ8試合しか消化しておらず、異例の早さでの指揮官交代劇だった。
勝久ジェフリー前HCが率いたのは第4節までの7試合。1勝6敗と黒星が大きく先行したこの時点で、クラブは10月24日のアルバルク東京戦の指揮権を伊佐勉アシスタントコーチに移譲。その2日後に伊佐のHC就任を正式に発表した。
NBA経験のあるライアン・ケリーを獲得した以外、SR渋谷は大がかりな補強をせずに今シーズンに臨んだ。就任2シーズン目の勝久前HCのバスケットスタイルがより浸透するかどうか、チャンピオンシップ(CS)進出を逃した昨シーズンからのステップアップはその一点のみにかかっていたと言っていい。
その点では、ディフェンスを重視する勝久前HCが指揮した7試合は決して悪い内容ではなかった。1試合平均失点は73.6。開幕2試合目のアルバルク東京戦こそ87失点を喫したが、その一方で相手を60点台に抑えた試合も2試合あり、ディフェンス面は合格点の数字だった。
ベンドラメの得点力を生かせず。
それにもかかわらず黒星がかさんだのは、1試合平均66.7得点というオフェンス力不足が理由だ。ケリーとロバート・サクレの2人に頼ってしまった感は否めず、日本人選手の中で最も得点力が期待できるベンドラメ礼生はオフェンスをコントロールするポイントガードで起用されたこともあり、その得点力をフルに発揮できない部分があった。
伊佐が指揮を執るようになってからも、当初の3試合はポイントガードで出場。しかし、第7節の千葉ジェッツ戦から伊佐は伊藤駿をポイントガードに据え、ベンドラメをシューティングガードに回した。
11月10日のシーホース三河戦で、ベンドラメは今季自己最多の17得点をマーク。翌日の三河との2戦目でも13得点を挙げ、2シーズン連続でCSセミファイナルに進んでいる三河を相手に連勝を果たす原動力となった。