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生きること=フィギュアスケート。
日本の超新星・紀平梨花の秘密。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2018/11/12 12:30

生きること=フィギュアスケート。日本の超新星・紀平梨花の秘密。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

見事な3アクセル、そしてジャンプ以外の演技もすべて完璧だった……万能選手・紀平梨花。

「細かなところまで全部です」

「すべてのジャンプを直しました。どこを、というより、細かなところまで全部です。どんどんジャンプが決まっていきました」

 やがてトリプルアクセルも習得。

 世界初の成功者である伊藤みどりは「紀平さんは軽やか。難しいのに簡単に跳んでいるように見える。いまどきの回転軸の作り方で、効率のいい跳び方をマスターしていますね」と技術を高く評する。

濱田「とても素直に話を聞く子」

 3つ目の要因として、「とても素直に話を聞く子」(濱田コーチ)という性格も見逃せない。それが教えを吸収する力となっただろう。

 トリプルアクセルばかり注目されるが、見逃すことができないのは、他の部分でもレベルが高いことだ。

 苦手な種類のジャンプがあるわけでもなく、その他の要素でも取りこぼすことが少ない。

 フリーではスピン、ステップともにレベル4を獲得している。演技そのものの繊細さも持ち合わせている。総合的な力を備えていることも、将来を期待される所以だ。

 もちろん、課題もある。それはメンタル面だ。

 過去、気持ちの面で負けて崩れた大会もあった。また、まだシニアのグランプリを1戦こなしただけに過ぎない。過度の注目は酷な面もある。当の本人も冷静に自覚する。

「まだ1戦目で、何回も続けてできているわけではないので、まだまだだと思います」

 一方で、優勝という結果は新たな目標を抱かせた。

「(GPファイナル進出の)チャンスが出てきたので、狙っていきたいです」

【次ページ】 中学2年時に人生は決まっていた。

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