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生きること=フィギュアスケート。
日本の超新星・紀平梨花の秘密。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byAsami Enomoto

posted2018/11/12 12:30

生きること=フィギュアスケート。日本の超新星・紀平梨花の秘密。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

見事な3アクセル、そしてジャンプ以外の演技もすべて完璧だった……万能選手・紀平梨花。

記録が裏付ける、その圧倒的実力!

 GPデビュー戦での優勝は日本初。

 総合得点は平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワが記録した239.57に次ぐ、今季世界第2位。フリーの技術点だけとれば、ザギトワを上回り世界1位の得点であった。

 これらの数字からも、NHK杯での成績のインパクトが伝わる。

 紀平はジュニアの頃から、注目を集める存在だった。海外でも広く知られるようになったのは、中学2年生だった2016年9月のこと。ジュニアGPシリーズ第5戦のフリーで、史上7人目のトリプルアクセル成功者となったばかりか、女子史上初となるトリプルジャンプ8回に成功し、優勝したのである。

 昨年は12月ジュニアGPファイナル・フリーで、ISU公式大会で史上初となるトリプルアクセル-トリプルトウループを成功させた。

 図抜けたジャンプを育んできたのには3つの要因がある。

幼い頃からの驚異的な身体能力。

 紀平は、幼少の頃から体操やバレエなどさまざまな習い事に励むほど運動に秀でていた。

「好きなのは体育です」

 自身、そう答えるように、小学生時代はリレーなどで男子顔負けのスピードを見せ、中学生のときには50m走で女子の全国平均を1秒強上回り、男子の平均よりも速いタイムを記録したこともあった。この時期から、尋常でやない「身体能力の高さ」を示していたのである。

 2つ目は小学5年生の終わり頃、「濱田美栄コーチの指導」を受けるようになったことだ。

「教えてほしいと思っていて、お願いしたら『まず3カ月やってみましょう』というところから習い始めました」

 その後、濱田コーチとそのアシスタントを務める田村岳斗コーチに習い、ジャンプのレベルは飛躍的に向上した。

【次ページ】 「細かなところまで全部です」

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紀平梨花
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