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2年ぶりの関取復帰――。
豊ノ島の妻と娘が支えた土俵際。

posted2018/11/10 09:00

 
2年ぶりの関取復帰――。豊ノ島の妻と娘が支えた土俵際。<Number Web> photograph by Kyodo News

大けがを乗り越え関取に復帰した豊ノ島と、リハビリを支えた妻の沙帆さん、娘の希歩ちゃん。

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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Kyodo News

 1年納めの大相撲九州場所がはじまる。横綱白鵬、鶴竜の休場が決まり、場所前の稀勢の里や豪栄道の好調ぶりも伝わってきた。関脇として3場所連続で勝ち越しを続ける逸ノ城や、大関に一番近いといわれる御嶽海、小結の貴景勝の存在なども注目され、幕内の土俵での優勝争いが面白くなりそうだ。そんな九州場所の十両の土俵には、「あの男」が帰って来る。

「相撲が大好きだったのに、相撲が嫌いになりそうで、それが辛かった。もう相撲を取りたくないと思っちゃう自分が嫌だったんです。幕下の土俵で負けて花道を下がる時に、なんだかみじめさを感じる。自分でいうのもなんですが、それまで輝かしい相撲人生を送れていたつもりだったんで、日々“キツいなぁ”と……」

 13場所ぶりに関取に復帰し、再十両として土俵に上がる元関脇・豊ノ島が、この2年間を振り返る。

「本当に勉強になった2年間でした」

 2016年7月、名古屋場所直前の稽古でアキレス腱を断裂する大ケガを負った。手術し、約3週間の入院を経て、退院後の1カ月は歩くこともままならず松葉杖生活を送る。当時33歳という年齢もあり、誰しもの脳裏に「再起不能」の文字がよぎっただろう。

「ケガした時に診てもらった病院の先生が、『復活した時に、これは意味のあるケガだったんだと思えるようにしましょう』と言ってくれていて、その言葉がずっと頭に残っていた。

 ここ2年、いろいろ考えることもあって、相撲としっかり向き合えました。

 もちろん若い頃はガンガンやってましたけど、ここ数年は稽古もそれほどしていなかったし、そんな自分の甘さにも気づけ、本当に勉強になった2年間だったんです」

 豊ノ島の思いは、2010年の九州場所、14勝1敗同士で臨んだ、白鵬との優勝決定戦まで遡る。

【次ページ】 応援されればされるほど、孤独に。

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