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日米野球ではこのサムライに注目!
岡本和真は東京五輪の主砲狙う。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySAMURAI JAPAN via Getty Images
posted2018/11/08 17:05
史上最年少で3割30本塁打100打点を達成している岡本和真。22歳の若きサムライは、東京五輪で輝けるか?
逆方向に強く打てる技術が必要。
「代表で仕事ができる条件があるとしたら、そういう外のボールをしっかり呼び込んで逆方向に打てるバッティングができること」
井端コーチが自分の経験から導き出した結論だった。
これは'13年のWBCでソフトバンクの内川聖一内野手とも一致した意見だった。
ただでさえ動くボールが主流。その上で外角となれば、ボールを呼び込んでしっかり逆方向に強い打球を打ち返せる技術が必要になる。そういう国際大会向けの打撃ができる長距離砲は、今までならDeNAの筒香嘉智外野手の名がまっ先に上がったが、右ではなかなかいなかった。
その期待が膨らむのが岡本という訳だ。
転機となった1本の本塁打。
「岡本にはその技術がある」
井端コーチは今季の岡本の開花とシンクロした形で、将来の侍の4番候補として岡本を推す。
「僕は今年の彼の成長は、右方向にもホームランが打てるんだということを自覚したことにあると思っているんです。
外角の球を逆方向に打っても、こんなもんで(スタンドに)入るんだという感覚をつかんだ。そうするとボールをしっかり最後まで見られるし、強引に行かなくなって率も上がる。
全ては右方向への意識がしっかりできたことだったと思います」
今季、岡本の転機となったと言われるホームランがある。
8月4日のナゴヤドームで行われた中日戦だ。その1回に、左腕・小笠原慎之介投手の外角高めの141キロストレートを右中間スタンドにたたき込んだ。
それまでも逆方向への意識は高かったが、広いナゴヤドームの右中間に放った一打から、右方向の長打への意識が変わった。
当てて流すのではなく、右方向へもしっかり捕まえたボールで引っ張る感覚を身につけた。強引に行かなくても、それでしっかりミートできれば十分にスタンドまで届く。
それが覚醒のカギだった。