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将来性ある選手でタイトルを獲る。
ベルマーレはJの底辺拡大の希望だ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2018/10/30 11:30
紆余曲折あったクラブの歩み。2018年のルヴァンカップ制覇は、ベルマーレにとって新次元への第一歩となる。
将来性ある選手獲得と育成。
ルヴァンカップ決勝のスタメンに名を連ねた11人には、外国籍選手がひとりもいなかった。現役の日本代表もいなかった。
プロ1年目のDF坂圭祐とMF金子大毅が先発し、加入2年目のDF杉岡大暉が決勝ゴールを叩き出した。また、アカデミー出身のDF石原広教とMF齊藤未月は、ルヴァンカップ決勝と日程の重なったAFC U-19選手権に出場し、来年のU-20ワールドカップ出場を勝ち取った。11月1日に準決勝を控えるチームで、齊藤はキャプテンを務めている。
坂はユニバーシアード代表経験を持つ即戦力の大卒だ。'17年加入の杉岡も、市立船橋高校で全国優勝を経験している。東京五輪世代の有望株だ。金子は杉岡と高校の同級生である。
複数クラブが争奪戦を繰り広げる選手を獲得できるようになった一方で、石原と齊藤はアカデミー出身だ。しかも、ホームタウンの藤沢市出身である。
眞壁の声に芯が通る。
「いい選手が取れないから勝てないではなく、将来性のある選手を探し、育成組織にも力を入れてチームを強くしていく。そういった文化が広がっていけば、日本サッカーの底辺も拡大していくと思うんです」
「選手が成長できるクラブ」だったベルマーレは、「タイトルをつかめるクラブ」となった。予算ありきではなく理念と情熱を両輪とし、そのひたむきな姿が企業の賛同を得る彼らの姿は、日本におけるスポーツの在り方においても良質なモデルと成り得る。
それ以前にまずは、Jリーグの他クラブを大いに刺激するだろう。