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桜庭和志、所英男、中村大介の挑戦。
映画の声優に「最後はノリノリ」。 

text by

松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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photograph byYuki Suenaga

posted2018/10/11 16:30

桜庭和志、所英男、中村大介の挑戦。映画の声優に「最後はノリノリ」。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

上半身裸にハッピを着てポーズをとる(左から)所英男、桜庭和志、中村大介。最高である。

桜庭「お客さんの反応を聞きながら戦っている」

――今回は声優として、声でキャラクターを演じ、映画を見に来た人に感情を伝えることに挑戦しました。実際の格闘技でも、闘いを通して観客に何かを伝えることは重要だと思います。お客さんに「魅せる・伝える」という部分で、意識していることは。

桜庭 お客さんを盛り上げることは意識してますね。ある技をかけて、お客さんが盛り上がったら、同じ技をかけたりする。勝負にこだわって、「相手をどう騙そうかな」と考えながらも、耳ではお客さんの反応を聞きながらやっているつもりです。

  僕は子どもの頃からリングスとかを見てきて、お客さんもわかりやすい、おもしろい格闘技を体現できれば良いなって思っているんですけど……やっぱり桜庭さんみたいにはできないですよね。少しでも近づけるようにやりたいなって思っています。

中村 僕は試合で表現するのが苦手というか、演じるのは苦手なので、とにかく一生懸命やる。目指すスタイルはあるので、そこにこだわって、とにかく一生懸命最後まで頑張るだけ。それをちょっとでも妥協すると、お客さんにも伝わってしまうと思うんです。だから、本当に勝ちたいという気持ちを、もっと出していけたらいいと思ってます。

――桜庭さんが試合中にお客さんの反応を耳で聞けるのは、経験を積んでできるようになったのですか。

桜庭 プロレスの経験もありますからね。例えば、都内のお客さんならば、地味な技でもわかる人が多い。でも地方の場合は、もうちょっとわかりやすい技を増やすとか。昔は、地方での総合格闘技の試合で寝技ばかりかけても、なかなか盛り上がらなかった。じゃあ、「もうちょっと打撃技を多くした方がわかりやすいかな」とかって、考えながら試合をしていました。コンマ何秒の世界ですね。

中村 すごい。それ、桜庭さんならではですよ。プロレスでデビューされた人ならではの考えだと思いますね。

桜庭 ヴァンダレイ・シウバと初めて試合したときも、一発、どんってパンチが入って。「あれ? 入っちゃった」と。そのまま組み付けば、首を取れたのよ。でも、会場がドッカーンって湧いているから、「これ、このまま首を取りにいくよりも、殴ったほうが盛り上がるよな」って思って。その隙にヴァンダレイが離れちゃって。殴りに行ったら、逆に捕まってボコボコにされました(笑)。

  僕だったら、そんな余裕全然ない。すぐ首に行きますよ。

【次ページ】 中村「恐怖を感じた練習は……」

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