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イチローの調整と復帰への本気。
岩隈からの一打、実戦映像を凝視。
text by
木崎英夫Hideo Kizaki
photograph byAFLO
posted2018/10/11 11:30
9月26日、今季限りで退団する岩隈久志の始球式では捕手役を務めた。
実戦の映像を微動だにせず見る。
独自の感覚を保つ方策の1つに、イチローは「実戦の映像を見ること」を挙げている。
6月半ばのこと。イチローは本拠地のクラブハウスでロッカーの椅子に腰を掛け、愛用するiPadに釘付けになっていた。挨拶をするために近寄ってはみたものの、背を向けたまま微動だにせず、後ずさりするしかなかった。
その際に垣間見えた画面に映っていたのは、アスレチックスの試合の中継映像だった。
来年3月、東京ドームで開催される開幕戦の相手をイチローは早くからイメージの中へと取り込む作業にも取りかかっていたのだ。
ディポトGMはシーズン総括会見で今後のチームの方向性にも触れている。
「数年先をにらみ、今季躍進したハニガー(27)、ディアス(22)、ゴンザレス(26)ら、30歳までの選手を軸とするプレーオフ常連のチーム作りを目指す。究極の目標は世界一だ」
今月22日に45歳を迎えるイチローには、引き裂かなければ生き残れないチームの未来図が突き付けられているという現実もある。
寒さの中でほころび始める花が芳香を放つ来年3月、揺籃の地で日々の鍛錬を基にした研究は、どんな成果をもたらすのか。また、メジャー19章をどう描破するのか。
異能の打者、イチローの2019年は間違いなく味読に値するシーズンとなる。