欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
降格候補、まさかのプレミア上位。
ワトフォードのキャラと癖が凄い!
posted2018/09/28 17:00
text by
吉江武史Takeshi Yoshie
photograph by
Uniphoto Press
リバプール、マンチェスター・シティ、チェルシーに続く4位に、見慣れない名前がある。
プレミアリーグ開幕前は降格候補にも挙げられていた弱小ワトフォードにとって、最初の6試合で4勝1分け1敗は堂々たる成績だ。「ホーネッツ(スズメバチ)」の愛称を体現するように、第4節では強豪トッテナムにも“ひと刺し”を食らわせた。その充実ぶりに、気が早い一部のメディアやファンは「新たなレスターか」と色めき立った。
フォーメーションはいまどき珍しい中盤ボックス型の4-4-2。スタメンは開幕から完全固定。ここまで、ブライトンとの開幕戦を除く5試合でボール支配率が相手を下回っているが、プレッシングがよく効いていて、高い位置でボールを奪って即時発動するカウンターのキレ味もなかなかだ。
シンプルながら規律正しく、強度の高いパフォーマンスは、なるほど2015-16シーズンに奇跡の優勝を成し遂げたレスターと通じるところがある。
レスターにたとえるなら……。
レスターにたとえるなら、このチームには「リヤド・マフレズ」と「ジェイミー・バーディー」がいる。マフレズ役はロベルト・ペレイラ。元ユベントスのアルゼンチン人MFは、アリエル・オルテガに憧れるファンタジスタだ。それでいて、ボールリカバリーの回数がチームでトップクラスの選手でもあり、現チームの戦術にもよくフィットしている。
バーディー役は、エースで主将のトロイ・ディーニー。ワトフォード生まれのボクシング世界ヘビー級統一王者、アンソニー・ジョシュアと親友だという彼は、自身もプレミア屈指のパワーを持つヘビー級のFWだ。
ガッチリと前線でボールを収めることができるし、デュエルにも滅法強い。バーディーとは比較しがたい鈍足だが、アマチュアから這い上がってきたキャリア、労をいとわず前からガツガツとボールを奪いにいく姿はレスターの英雄と似通っている。