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田中将大はMLBでも負けない投手。
デビュー後5年連続12勝は5人だけ。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2018/09/20 17:30
楽天、ヤンキースと日米問わず勝利を積み重ね続けている田中将大。その安定感は過去の大投手に比類するものだ。
勝利至上主義のヤンキースで輝く。
「マー君、神の子、不思議な子」というのは、日本プロ野球でデビュー当時、打たれても味方が反撃して「負け星」がつかないことを受けての言葉だったと聞く。
負けない投手。それは彼の勝率を見れば一目瞭然だ。
前述した4人と田中のデビュー後5年間の勝率を見てみよう。シーバーが.638、エカーズリーは.606、グッデンは.722、ペティットは.638。そして田中はグッデンに次ぐ.660を記録している。
田中は「短いイニングにも関わらず、高い確率で試合に勝てる投手」であり、その事実はとりわけ、ヤンキースのような「勝利至上主義」を貫くチームでは重要だ。
先発投手が完投以外で勝利を手にするためには、降板後、マウンドに上がった救援投手が同点にされることなく試合を締めなければならない。それゆえファンタジー・べースボールの愛好家などからは「勝利数など、選手の力量を表す指標にはならない」と判断されることもある。
とはいえ、味方が相手よりも点を取った状態で、5回以上で投げ切る。この先発投手が「勝ち投手」になる最低条件は、ベースボールというゲームの中では大きな意味を持つ。
「先発投手の好投に、味方打線が応える」
「調子が悪くても最少失点に抑えて、味方打線の奮起を待つ」
こう書くと「昭和の考え方」と笑われるかも知れない。
だが、ベースボールはチームスポーツであり、選手それぞれが自分の役割を果たすことでゲームに勝つ「運」が生まれるものだ。
田中が投げればチームが勝つ。
2018年秋、チームメイトやファンにとっては、その事実だけで充分だろう。