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長谷部誠が中田英寿に伝えたいこと。
「だから、書いといてください!」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byRyu Voelkel
posted2018/09/18 15:00
長谷部誠は決して安易な言葉を発しない。その一言一言に、彼が積み重ねてきた思想の一端が見える。
“ありきたり”な質問にも悩んで答える。
インタビューも終盤にさしかかり、今後渡欧を志す後輩たちへ、どんな言葉をかけたいかと聞いてみた。インタビューがまとめに入ったことを示すような、いわば“ありきたり”な質問ではある。だが、長谷部はここで悩み始めた。
「うーん、どうなんですかね。その選手のキャラクターや移籍のタイミングとか、色んなことが絡み合って、やっとうまくいくから……」
雑誌の記事中でも語っているが、長谷部はここまでの10年強、楽しいことよりも辛く苦しいことのほうが多かったと言う。だからこそ簡単に甘いエールを送るわけにはいかないようで、少し頭を抱える。
「簡単なことばかりじゃないし、絶対大変なことも多いし。だけど……それを耐えて、忍んで、どれだけ経験を自分のものにできるか。耐えるだけじゃなくて、そこから前に進めるか。それだけだと思います」
決して意地悪で言っているわけではないというのは、ひしひしと伝わる。期待もしている。
「ヒデさんはサッカー界に携わってもらわなきゃ」
「これまで本物の、真のビッグクラブでプレーした選手って、ヒデさんのローマ、シンジ(香川真司)のマンチェスター・Uくらいかな。だから欧州のトップでプレーする選手が、もっともっと出てきてほしいという気持ちはありますね。それは日本代表とか、日本サッカーの強化につながると思います」
その日本人選手の欧州移籍のパイオニアである中田英寿については、憧れと尊敬の気持ちを込めてメッセージを託してきた。
「ヒデさんはやっぱり、別格だと思いますよ。21歳でペルージャに行って、2点取ったユベントスとのデビュー戦も、『すっげーな』と思いながらテレビで見ていました。それからローマでスクデットも取って。
ヒデさんって、まだ41歳でしょ? 俺、34ですよ(笑)。同じ時代にサッカーをやりたかったですね。サッカー観とか、合いそうな気がするんですよね。あの人は強さもあり、うまさもあり、ダイナミックさもあって。一緒にボランチでコンビを組んでやりたかったって、一番思う選手かもしれない。
僕なんかが偉そうに言うのはあれですけど、やっぱりヒデさんはどういう形であれ、日本のサッカー界に携わってもらわなきゃ困る人だと思いますね。監督なのか、コーチなのか、協会のスタッフなのか、どういう立場かはわからないですけど、何かしら関わってほしい人。ああいう人がいると日本サッカー界もより盛り上がるし注目されると思う。だから、そう書いといてください!」
最後は茶目っ気たっぷりながら、とても長谷部らしいメッセージだった。
ヒデさん、読んでますか?