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清武弘嗣「正直、引退も考えた」
ケガの連鎖、救った父の言葉と妻。
posted2018/09/11 11:00
text by
小田尚史Hisashi Oda
photograph by
J.LEAGUE
今夏、ロシアの地で躍動した日本代表。その中心にいてもおかしくなかった選手が、清武弘嗣だ。
時は2016年11月。ロシアW杯アジア最終予選のサウジアラビア戦ではトップ下として先発し、前半終了間際のPKによる先制点を含め、2-1での勝利に貢献。
当時は香川真司との激しいレギュラー争いを経て、本大会では清武が定位置を獲得するのではという勢いさえ感じられた。
昨年末、その時期の話題を彼に振ると「そんなときもありましたね(笑)」と遠い目をしていた。
2017年2月。古巣セレッソ大阪に電撃復帰した清武は、クラブ初のタイトル獲得を含む2冠に貢献したが、シーズン序盤からケガを繰り返し、日本代表から遠ざかっていた。第16節の仙台戦では左ハムストリング筋損傷により約3カ月間、戦列を離れた。
度重なる離脱に「ツイてない」。
それでも清武復帰後、チームは勢いを取り戻し、ルヴァンカップと天皇杯制覇へ突き進んだ。清武自身も健在ぶりを示すと、12月にはE-1サッカー選手権に臨む日本代表にも招集されたが、練習中にまさかの脳震盪で離脱した。
C大阪の練習に復帰したとき、清武は苦笑してこう口にしていた。
「ツイてないっす」
それでも、天皇杯優勝で復帰初年度を終えた。C大阪への復帰会見で語った「このチームに必要なのはタイトル。絶対に獲りたい」との言葉を有言実行。波乱万丈の1年を締めくくった。
今シーズンは副キャプテンに就任し、チーム内での影響力も増した。川崎とのゼロックススーパー杯ではゴールも決めるなど、W杯イヤーに最高のスタートを切った。しかしACLグループリーグ初戦・済州戦後の練習で右ふくらはぎ肉離れ。またも戦線離脱を余儀なくされた。