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清武弘嗣「正直、引退も考えた」
ケガの連鎖、救った父の言葉と妻。
text by
小田尚史Hisashi Oda
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/09/11 11:00
ロシアW杯出場は逃したとはいえ、清武弘嗣は今もなお日本屈指のMFである。復調を果たせば代表復帰も遠くないはずだ。
サポーターとの大切な20秒間。
そして、「温かく見守ってくれている」セレッソサポーターと心を通わせる時間も彼を強くさせる。試合前のアップ時、指を上下させて踊る“キヨタケダンス”をゴール裏のサポーターと行う姿は恒例の光景になった。
「いつから始めたかはわからないんですけど(笑)。やり始めたらサポーターの皆さんが喜んでくれて。いつの間にか定番になりました。サポーターの方も、あれを一緒にやるために僕のアップが落ち着くのを待ってくれている。あれで僕もテンションが上がるし、試合前は緊張感があるけど、あれで自然とほぐれる。俺にとっては大切な20秒間です」
清武は屈託のない表情を見せた。
ACLを狙える位置にいるからこそ。
ドイツ、スペインと続いた欧州でのプレーを終え、C大阪に復帰した昨季、そして今季。クラブは初タイトルを獲得した一方で自身は負傷を繰り返し、ブラジルW杯での悔しさを晴らすはずだったロシアW杯の出場も叶わなかった。
サッカー人生で脂が乗り切った時期。余りに多くの試練が訪れた。それでも「セレッソに復帰してよかったですか?」とシンプルな質問をぶつけると、彼はこちらの目を見てしっかりと「もちろんです!」と即答した。
天皇杯に続きルヴァンカップも準々決勝で敗退したことで、今季、C大阪に残された公式戦はリーグ戦の9試合のみとなった。首位・広島との差は開いており、逆転優勝は現実的ではない。それでも清武はこう決意を口にしている。
「ACL圏内を狙える位置にいる。いいチームは、毎年3位以内に入るチームだと思う。正直、今年のセレッソは、うまくいったりいかなかったり、波も激しいけど、リーグ戦はまだいい順位につけている。いい形でシーズンを終えることができたらいいなと思います」
チームとしてのラストスパート。
その中で、度重なるケガに苦しんだ時期を乗り越え、ピッチで輝く清武のプレーを、一挙手一投足を、目に焼きつけたい。