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五輪ボランティアは何が問題か。
応募者の性質と、対価の重要性。
posted2018/08/25 11:30
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Sports Graphic Number
東京2020の組織委員会がボランティア募集している。応募要項には『東京2020組織委員会が募集する「大会ボランティア」には、主に大会期間中および大会期間前後に大会運営に直接携わり、大会の雰囲気を醸成するメンバーの一員として大会を成功へと導く活躍が期待されます』(原文ママ)とあり、大会前後に1日8時間程度で10日間以上活動できる人。募集人数は8万人で2018年12月上旬に締め切られる。
オリンピックやパラリンピックは、選手はもちろんだが、ボランティアなしでは大会運営は成り立たない。
海外からの熟練ボランティアたち。
過去の大会では海外からボランティアに参加した人も多い。リオ大会の際には応募者24万人のうち4割が海外からで、特にイギリス、中国、アメリカ、ロシアなど五輪&パラリンピック開催国の応募者が多かったという統計が出ている。地元開催の大会でボランティアをした後、五輪などのボランティアにはまり、休暇を利用して参加する人たちもいる。
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リオ五輪の際に陸上で報道陣の担当だったドイツ人男性は、ドイツ語、英語、フランス語に堪能で外国人報道陣のサポートをしていた。「大会の一員として働くのは素晴らしいことだし、チーム一丸となって働く達成感がある。東京も応募しようと思っている」と話していた。
昨年の世界陸上ロンドン大会では、報道陣が仕事をするプレスルーム担当だった男性のティムさんは、いつも笑顔で挨拶をしてくれた。記者やカメラマンの反応が薄くても(残念ながら、不機嫌な記者が多いのはなぜだろう)笑顔を絶やさず、我々の業務がスムーズにいくように努力をしてくれた。
「ロンドン五輪の時にもボランティアをして、素晴らしい経験をしたので、今回も迷わず応募しました。普段は老人ホームで働いています。仕事にはやりがいを感じているけれど、スポーツのイベントは活気があって、若者からエネルギーをもらえます」