ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
ゴルフは個人競技か、チーム競技か。
選手間の情報共有が最強の練習法?
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2018/08/19 08:00
練習ラウンドなどで選手同士が談笑している姿はよく見かける。ライバルである以前に、彼らはやはり仲間なのだろう。
全英OPで共同生活した7選手。
最近は海外のトッププレーヤー同士の親密な関係が、現地の報道で漏れ伝わってくる。
7月の全英オープンは、米国で行われるその他の3つのメジャーとは性格が異なる。目まぐるしく変わる天気に硬い地面、膝丈ほどあるラフ……。コースの外では食事だけでなく、宿泊の慣習も独特だ。周辺にホテルが極めて少ない会場が多く、現地の人の民家や別荘を期間中だけレンタルすることが珍しくない。
世界のトッププレーヤーも事情は同じ。今年、PGAツアーで戦う米国籍の選手たちのあるグループは、カーヌスティ近くの豪邸をシェアしたという。
ジョーダン・スピース、ケビン・キズナー、ジェイソン・ダフナー、ザック・ジョンソン、ジミー・ウォーカー、ジャスティン・トーマス、リッキー・ファウラーの7人。世代は20代から40代と様々で、空き時間には中庭でサッカーをして楽しんだそうだ。
GKはいつも、のんびり屋のダフナーの役目。無邪気なスピースの豪快なキックは、屋根の上を越えて、赤の他人の家に飛び込んでしまったという。だからキズナーは「ボールがなくなっちゃったから、アマゾンプライムで注文しなきゃいけない」とメディアを笑わせた。
選手同士の情報共有は最強のツール?
実際の試合で勝ったのはイタリアのフランチェスコ・モリナリだったが、この米国チームには上位をにぎわせた選手たちが多くいた。当然ながら彼らの話題が毎日、直前まで行われていたサッカーW杯に終始していたわけではないだろう。
日々の天気予報を見ながら、コースの変化を予測し、攻略ルートを互いにイメージしていく。タイトルを目の前にした最終局面になれば、たちまち敵同士になるだろうが、こうなるとゴルフも個人スポーツとは思えなくなる。
フロリダ東海岸に住むトーマスやファウラー、ローリー・マキロイらは、普段から練習をともにする仲だ。最近はそこにウッズが交るというのだから、豪華そのものである。トップレベルのトレンドは、試合会場どころか、ローカルの練習場から作られているのかもしれない。