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風船と遊び続けるオカダ・カズチカ。
G1自力優勝消滅危機と今後の変貌。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/08/08 07:00
G1クライマックスが進むにつれて、ますますそのキャラクターの不思議さの度合いが高まっているオカダ・カズチカ。
「棚橋さんがかわいそうだから」
オカダは8月10日の日本武道館で、棚橋弘至との公式戦がある。
館内から「タナハシ」という声が飛ぶと、それにも反応した。
「みんなやめて。棚橋さんがかわいそうだから。まあかわいそうだけど、日本武道館初日、オカダが勝って、優勝します」
棚橋とは5月4日に福岡国際センターでIWGPヘビー級王座戦を戦った。そして、王者オカダは粘りを見せた棚橋を振り切る形でIWGP12連続の防衛記録を達成した。
だが、6月9日の大阪城ホール、ケニー・オメガとの13度目の防衛戦でまさかの黒星を喫して、今、オカダの腰に王者のベルトはない。
オカダは豹変した。
髪の色を変え、「奇人」のようになってG1クライマックスに参戦した。戦い方もちぐはぐでアンバランスだった。
IWGP王者への挑戦のためにも。
「忘れたわけじゃない」というIWGPのベルトを取り戻すための近道は、このG1クライマックス優勝が手っ取り早い。
G1優勝者には来年1月4日、東京ドームで行われる「WRESTLE KINGDOM」でIWGP王座への挑戦の権利証が与えられるからだ。
「ああ、きつかった。みんな強いね。
G1クライマックス、こうやって短期間でいろんな選手と当たって、みんなの強さってのを肌でもって感じて。そして、その上を行くオカダ・カズチカは、もっと強い。
改めて、罪な男だよ、オカダ・カズチカっていうのは」
オカダはインタビュースペースの床に座りこんで、壁にもたれかかっていた。汗がまだ流れていた。