プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
風船と遊び続けるオカダ・カズチカ。
G1自力優勝消滅危機と今後の変貌。
posted2018/08/08 07:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
風船をプーッと膨らまして、風船を振り回して、風船を飛ばして、風船と遊んでいるオカダ・カズチカがいる。
風船にはドルマークの「笑顔」がマジックで書かれている。
新日本プロレスのG1クライマックスは終盤戦を迎えたが、オカダの風船遊びはまだ変わらない。
オカダはAブロック公式試合8戦を戦って6勝2敗。2連敗後の6連勝だが、ずっとオカダ本来の勝ち方ではなかった。ただ、8戦目となった8月5日の大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)でのEVIL戦ではやっとオカダらしい戦い方が見えて来た。
1年前には同じ大阪で不覚の敗戦を喫したEVIL相手に、オカダは花道で助走をつけたドロップキックでEVILを吹っ飛ばした。
オカダはEVILの得意技である“EVIL式・大外刈り”も繰り出して、最後はパイルドライバーから強烈なレインメーカーで仕留めて見せた。やっとオカダらしさが戻ってきた気配が感じられた。
でも、そのキャラクターは、依然として風船男のままだ。
「前のオカダ・カズチカに戻ろうと思ってない」
「そんなにオレが余裕で勝ったように見えますか。そんなにオレが強かったですか。そんなにオレは格好よかったですか」
オカダはマイクを握って続けた。
「6勝目! 順調だね、オカダ・カズチカ。みんなが思っているオカダ・カズチカに戻ってきたんじゃない?
でも、オレ、別に前のオカダ・カズチカくらい強くて格好いいオカダ・カズチカに戻ろうなんてまったく思ってないんだよね。
もういくつか上に行くよ。オレが上に行くってことは新日本プロレスが上に行くってことだからね」