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風船と遊び続けるオカダ・カズチカ。
G1自力優勝消滅危機と今後の変貌。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/08/08 07:00
G1クライマックスが進むにつれて、ますますそのキャラクターの不思議さの度合いが高まっているオカダ・カズチカ。
優勝のために棚橋戦は落とせない。
ここでオカダは現実と直面することになる。オカダは8月5日の大阪大会を終えて勝ち点12で、公式戦では日本武道館初日でのAブロック首位の棚橋(勝ち点14)を1つだけ残していた。
棚橋との過去11戦の通算戦績は、オカダが5勝4敗2引き分けと1つリードしている。
棚橋はこのG1は決してきれいな勝ち方とは言えないが、札幌でホワイトに敗れた以外は7試合で勝利を収めてきた。
棚橋は勝ち点を奪うことに徹して、エビ固め、首固めなどの地味な逆転技で3カウントを奪っている。
生き残るために手段を選ばずに、省エネ・ファイトで勝ち点を積み重ねて首位をキープしている。
オカダは首位の棚橋を倒せば、自動的に武道館最終日8月12日の優勝戦にコマを進められると思っていたようだが、ジェイ・ホワイトという存在をつい忘れていたのだ。
「今年のオレのテーマは何でしたっけ?」
オカダはホワイトに開幕戦で敗れているから、武道館で同じ8月10日、勝ち点12のホワイトがEVILとの試合に勝つと勝ち点14になり、オカダが棚橋に勝って、勝ち点で並んでも、直接対決の成績で、オカダの優勝戦進出は消滅する。
現実に直面してオカダはちょっと肩を落としたが、気を取り直したように付け加えた。
「どっちみち答えはシンプル。
まあ、ジェイが勝ったとしても、別に同じCHAOSですから。そうなったらジェイに決勝に行ってもらいたいしね。 ジェイは好き放題やっているけれども。G1クライマックスらしくない戦い方をしているのかもしれないけれど。
それはね、後で、終わったら、また話し合いでも、戦ってでも、わからせてやればいいと思う。ジェイが勝ったら勝ったで、オレの夏はおしまい。
まあオレは、勝つしかないんで。今年のオレのテーマは何でしたっけ?」
オカダは「ニーッ」と笑顔を見せて立ち上がった。